この前読んだ本によると、禅の心とは物事にとらわれず今この一瞬を大切に生きることだとか。
そう考えると、美味しい食事を仲の良い人たちと楽しんで食べることは禅的な行動なのかもしれない…美食とはつまるところ禅なのか…とそんなバカなことを考えた最近です。
今回は親戚と丸の内のフレンチ・オザミへ!ファミリーだけどオザミ(aux amisはフランス語で友達の意)です。
個室でフレンチのフルコース、今回は更に全皿ペアリングワインのコースでした。
ちゃんと解説をメモしなかった自分を呪いつつ…覚えている限りのワインと食事はスタートから順番に下記のとおり。
①rosé

おそらく聞いただろうに名前を忘れた、スパークリングのロゼが1杯目です。これはついつい飲みすぎるおいしい甘さで、空きっ腹には危険な飲み物ですね。
私にとってロゼとはフランス留学の象徴でした。あまりの退屈さにパリへ逃げる前に1カ月ほどニースに住んでいた時期がありましたが、その二つの都市どちらでも思い出深い飲み物です。
ニースはフランスの南部にある海沿いのバカンス地で海の青さとイタリア料理の影響を受けるシーフード領地の名産地です。日本を飛び出して飛行機で23時間、格安フライトを乗り継いでやっとフランスに到着、飛行機の席から見たあの象徴的な海の美しさを恐らく一生忘れないと思います。そんなニースのコンビニ、スーパーで壁一面を占拠していたのが、ロゼワインでした。クラスメイトたちとよく海辺でチップスを食べながらかったるく過ごしたものです。(フランス流アンニュイな過ごし方)
パリに移ってからも、クリスマスにディナーしたお店でのサーブはスパークリングのロゼでした。その時の写真はもうないのですが、寒さと値段と敷居の高さにクラクラしながら(私はお金払っていませんが…)フォーエバー21の恐ろしく高いヒールで歩き回った、そんなパリの記憶もあります。
ビーチでもレストランでも、ジャンクフードでも高級な肉でも魚でも、家族でもカップルでも楽しめる、ロゼに乾杯!
②chateau de Catalogne 2019 ロレーヌの白ワイン
前菜のアミューズ・ブッシェ(Amuse-bouche)に合わせたワインです。
大好きな白ワイン!わたしはこのワインにウッディー感を強く感じました。アルザス・ ロレーヌはドイツ、ルクセンブルク国境にほど近いフランスの地域です。大好きなキッシュ発祥の地です!勿論アルザスの白ワインとは相性抜群。日本酒と寿司のような完璧なマリアージュと言えましょう。
今回はキッシュではなく、出汁の効いたプディングにほうれん草のソース、上部にはほぐしたハマグリを載せてあります。冷菜ながらも繊細な味わい。バングラデシュ国旗を彷彿させる美しいコントラストです。
③Dry koshu 2019 かなり辛口の甲州ワイン
3杯目は日本の甲州(広州ではありません)のワインです。
こういうフレンチに日本のワインが良いマリアージュというシーンは個人的的に結構至福の時。二つの文化を愛する人にとっては誰もがそう思うのではないでしょうか。
今まで飲んだワインの中で一番の辛口、恐ろしいほどサッパリしています。G7のワーキングランチ、首相夫人主催の昼食会で唯一出された白ワインなんだとか。この繊細なキツさ、確かに日本食にも合いそうです。
お料理は烏賊のタルタルとキャビア、クーリ(ピューレ)はタイムでコンフィにした秋茄子です。イカのタルタルが濃厚で本当に美味しかった!ナスも大好きなのでこちらも良いマリアージュでした。食欲の秋ですね。
⑤(おそらく)プロヴァンスの白ワイン
かなり気に入ったのにワイン自体の写真を全然撮っていなくて後悔の一杯です。お料理は真鯛と帆立、サンジャックのヴァプールです。ソースはトリュフのクリーム。「真鯛のヴァプール」とはつまり、蒸した鯛のことです。下にはほうれん草、上には生の帆立が乗り、踊りだしたくなるようなサンドイッチです。
トリュフといえば私の友人。「わたし前世は多分豚だと思う…それくらいトリュフが好きなんだよね」と言ったパリ時代の友達の言葉を忘れられません。来月出産予定の彼女は、先週もフランスからトリュフバターを取り寄せて食べていました。生まれてくる赤ちゃんはトリュフ・ベイビー!
⑥la Pierre aux chiens という赤ワイン

蛤とジロール茸のスープ、魚介に合うまろやかな赤ワイン!ソムリエの方曰く、 なかなか手に入らない、グラスでは普段出さないものだとか。無知故に有り難みが分からず恥ずかしがりつつ…ムチムチの蛤に舌鼓でした。(笑うところです)
さて、聞きなれないジロール茸。こちらはフランスの秋の味覚です。日本のキノコにはない大きさと食感。試したことはないですけど、おそらくみそ汁に入れても中華料理に入っても美味しいキノコです。
⑦Orange is the new white
このネタはおそらくOrenge is the new blackに起因します。(10年前に流行った女子刑務所ドラマです)。「~is the new black」とは「~が流行の色」という英語のイディオムなんですけど、これのホワイトをどう訳せばいいのか正直分かりません…
さて、オレンジワイン。「ロゼかしら…まさか!オレンジワイン!?」というお決まりのくだりを行いソムリエに褒められるワインですw
オレンジワインは、白ブドウを使って赤ワインのように造ったオレンジ色のワインです。黒ブドウを使って白ワインのように造るロゼワインと対極の存在と言えるでしょう。(エノテカ参照:https://www.enoteca.co.jp/article/archives/1503/)
フランス産なのにこの名前、若者を中心に人気な理由も頷けます。 お料理はかなり甘いフォアグラのテリーヌ。ピュレの洋梨も苺も相まってまるでデザートのような一品です。
⑧シャブリ/samuel billaud
まだまだいきます、8杯目。このグラスはこの種の葡萄(名前忘れた)の為の形なんだとか! シャブリとは、フランスの北東部に位置するブルゴーニュ地方の地域のこと。パリの右下の方ですね。
シャブリで使われるブドウの種類は「シャルドネ」。フランスは地域ごとに栽培できるブドウの種類が指定されていてシャブリ=シャルドネとなります。比較的栽培が簡単なシャルドネは世界中どこでも栽培されますが、ブルターニュの寒冷な気候とミネラルを豊富に含んだ土壌で育まれることによって、辛口のワインとなるようです。
オマール海老はシンプルなポアレで。オマール海老とはロブスターのフランス語の意味です。つまり同じものなんですが、住んでいる場所が違うとやはり味も違うようで、ヨーロピアン・オマールの方が身が詰まっており、甘味と旨味が濃厚で上質とされています。さらに、オマールエビの卵巣はとても希少価値があり、本体の身よりもおいしい*といわれています。*https://erecipe.woman.excite.co.jp/article/E1597448607400/
それにしても私の父は魚介類食べるのが本当に上手!卵、味噌まで美味しいお料理でした。最後はもはや手掴みでしたが…安心してください、ちゃんとフィンガーボウル付きです。
⑨南仏の赤ワイン/Dom. Léon Barral Faugères Jadis

食べるのも文章を打つのも疲れて来たところでメインです!実は私はパリ時代、友人の家で食べてからピジョンの大ファンです。
今回は和牛か、ジビエか、の選べるメインディッシュでしたけど…もちろん鳩です。「フランス・ランド産 小鳩のロティ」という珍しくシンプルな名前のこちらは、ソースは勿論ですが、しんなりするくらい焼いた付け合わせの玉ねぎが最高でした。鳩でありながら牛肉のような重厚感がメインに相応しく、毎日でも食べたいと思う一皿です。
最後のワインもお食事同様、選べるものでした。ボルドーか南仏かと聞かれたら迷わず南仏!Dom. Léon Barral Faugères Jadisという赤ワイン。2015年、大学入学の年のものでなんだか感慨深いです。
今回のワインはもうお腹いっぱい、お酒も結構飲みすぎている状態でかなり重さがありました。ただ若干ベリーの風味とスパイシー感があって、まるでトムフォードの香水のようだなと思ったり。上品、でも少し野性味のあるピジョンとの素晴らしいマリアージュでした。
さてこれで9杯!大満足でございます。
おまけ(デザート)
カフェではデザートがメインですけど、レストランだと正直いらない…最近そんな風に思うようになってしました。(パティシエの皆様ごめんなさい)
今回はなんと2品。avant dessert とgrand dessert です。1皿目がサッパリした洋梨と謎のクリーム、三口で食べ終えて2皿目に。2皿目はチョコレートケーキ。フレンチのコース、イタリアンの最後にチョコレートケーキが出てくることって結構多いと覆うのですが、それって結構うんざりと胃もたれしますよね。腹八分の概念を無視しているというか、そんな感じがして。
これはエスプレッソ入り!いい感じにコーヒーがチョコレートの甘さを中和し、安心して平らげてしまう危険なケーキです。文句なしの美味しさでした。ペアリングはハーブティーです。優しい結婚(マリアージュ)と言えるでしょう。
今回ワインは9杯、お食事は12皿。そして大量のバゲットとバター。普段の生活からしたらとんでもない量を3,4時間程かけて味わいました。
私はワインと香水はすごく似ているなと思っていて、つまり味わい方がとても主観的であるという点です。そして好みも千差万別、高いからといっていいわけでもない。知識・教養、自分が接してきた経験、センス…その全てを活用し評したり、また楽しんだりする。まさしくこういうものを嗜好品と呼ぶのではないでしょうか。
全てが美味しくて、味わいながらもあっという間に過ぎた楽しい時間。冒頭に戻りますがこれこそまさに禅なのではと思います。何にも左右されない、ただ「美味しい」という本質のみに向き合ってるという意味です。そう考えてみると、今回の食事はあまりにも幸福な修行であったと言えるのかもしれません。
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- 1月読書まとめ
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