右往左往・11月の美術鑑賞ログ:モンテカルロバレエ/新国オペラ/アーティゾン美術館

U25チケットでなんとか観られるものを吸収できるだけしよう、というこのせわしない半年ですが、11月も例外ではなく2つの舞台(バレエ・オペラ)と美術館鑑賞へ行ってまいりました。

安定感のあった昨月とは異なり、なんというか自分の感性とはまたとはまた違うものを体感するという、思いがけずびっくりした舞台が多かったので題名は右往左往にしました。ちなみに韓国語で右往左往は「우왕좌왕(ウワンジャワン)」です。日韓で発音と意味が似通っている言葉を探すのに最近ハマっている私でございます。

10月の鑑賞ログはこちら:


①11月12日(土)『じゃじゃ馬慣らし(モナコ国立・モンテカルロバレエ)』(S席)

半年前から楽しみにしていて、実際に見たらガッカリしすぎて疲れた舞台です。

『じゃじゃ馬ならし』はシェイクスピアの戯曲。自分の意見がはっきりある女(じゃじゃ馬)が一方的な結婚と、夫からのDVやガスライディング、洗脳で大人しくなる(馴らされる)というイかれた話です。どのようにそれを再構築するのか、そもそもそんな前時代的すぎるストーリーをどう肯定するか気になっていました。

パンフレットでは、「破壊力抜群同士の二人が結婚したら!?」「最高にハッピーなウェディング」というノリで、もしかしたらと期待したのですが、なんてことはない、暴力賛歌、家父長制賛歌のよく分からんストーリーのまま。過去の価値観はそれ自体が歴史なのでもはや受け入れるしかないですが、だからこそ現代に生きる我々がアップデートすることが大事ではないのかと思います。

この状況の日本で、あえて今やる意味とはなんだったのか。ヨーロッパ的問題定義でしょうか(皮肉)。いくら舞台装置を無機質にしようとも、斬新な衣装を作ろうとも、私はこのストーリーを娯楽として消費できませんでした。

またこれは好みの問題ながら、個人的には大げさすぎるキャラクタリスティックなパントマイムをはじめとする現実感のない演技、オーケストラでない音楽、ダンサーの嫌がる顔の多さ、暴力シーンの多さに辟易しました。未だに脳内に主役の眉を顰めた顔の演技が思い浮かんで記憶だけでもウンザリしているほどです。

日本国内のSNSの反応を見ていると概ね好評で「垢ぬけている」「センスがいい」という反応が多かったので、好みはそれぞれだなと思いました。洗練と過剰は紙一重だと思うので…、私の目には後者に写ったようです。

ただダンサーの鍛えられた身体は本当に美しかったので、そういう意味では生の舞台を鑑賞出来てよかったかなと思います。


②11月17日(木)『ボリス・ボリス・ゴドゥノフ(新国立劇場オペラ)』(S席)

はじめて幕間で席を立った作品でした。

根本的に「そもそもオペラや舞台に何を望むのか?」という点で演出家/監督と観客の目的があっていない不協和音に耐えられず、3幕を見ずに帰宅しました。

プーシキンの歴史あるオペラを観に行ったのに、原作に全くリスペクトが感じられない世知辛い現実風演出をアートという言葉を盾に見せつけられて居心地悪く終わったというか、、、

私は障害や病気を何かの罰として描くことは絶対にすべきではないと強く思いますし、それを大きな舞台で上演してしまう傲慢さ、浅はかさにつくづくガッカリです。

反面、ボックスを使った近代的な舞台装置、映像の使用はかなり面白く、「ボリスではない他の何か~中年の危機・世界との隔離・革命の意義~」みたいな別の物でやってくれたらきっと面白かったんじゃないかと思います。行かないですけど。


③11月27日(土)『パリ・オペラ座−響き合う芸術の殿堂(アーティゾン美術館)』学生チケット(タダ!)

パリに留学していたころからの友人ファミリーと、久しぶりのアーティゾン美術館です。現在絶賛専門学生をしているので、思いがけず無料の恩恵が受けられてとても嬉しいです。

この展示は、パリの日本人街のすぐ近くにあるあのオペラ座を、創設から現代まであらゆる意味での芸術的側面から見てみようというもの。

17世紀に設立された際の建築、当時の指示書から、19世紀~20世紀のバレエ・リュスの台頭までの2、300年間におけるオペラ座の舞台装置、衣装、絵画、楽譜等々が展示され、一回だけでは消費出来ないほどのボリューム感でした。

最近はオペラをよく観に行っているので、その舞台装置が見られたことはとても嬉しかったけれども、やはり感動したのはバレエ分野でした。

舞台で実際に自分自身が踊っていた太陽王・ルイ14世の衣装のデザイン。ちょうど200年前に上映された、バヤデール。寿命が40年くらいだった時代に25年間看板プリマだったというバレリーナの胸像。

時代を超えて、国を超えて、同じものに美しさを感じ、その価値を認めて自らの時間とお金を費やす人がいたことが純粋に面白いなと思いますし、それが社会的に作られた価値観だとしても、私はこの美しいオペラ座の世界にずっと浸っていたいです。

帰宅後母に話したら一緒に行きたいとのことだったので、会期中色んな人とまた行きたいです。


所感

11月は師走の前のウォームアップといったところで、それなりに忙しく過ごしました。

やらなければいけないこと、やりたいこと、自分の体力、理想の生活と折り合いをつけるのはなかなかに難しいですね。夜作業をしようと思って帰宅して、PCを打ちながらベッドで寝落ちして気がついたら朝だったことも多々あり歯がゆさを感じています。

今月は舞台がどちらも結構口に合わないものだったので、思いがけず批判的な言葉を口にしました。私の周りの人たちも少なからず嫌な気持ちになったのではないかなと少し反省です。

12月は一年の終わりで、To do listだらけ。その合間に観るためのくるみ割り人形も東京バレエ、新国バレエどちらの分のチケットも入手済みですので、それを楽しみになんとか生きていこうと思います。

では、また。


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