10月読書まとめ

今月の読書体験として、やはり『百年の孤独』を読み終えたことに結構達成感を感じました。読み終えるまでに時間がかかって咀嚼するのが大変だったんですけれども、これに影響を受けているものがあまりに多く是非とも読んでおかないと、と思っていたので。

芸術的な体験としてはオペラ、バレエを4つ鑑賞し、2・3美術館を訪れました。ドラマ『ウヨンウ』にもしばらくハマっていて、そういえば彼女が最終回に新しく得た感情も「達成感」でしたよね。


10月の読書メーター
読んだ本の数:19
読んだページ数:4581
ナイス数:141

シソンから、 (チョン・セランの本 04)シソンから、 (チョン・セランの本 04)感想
これは読む人によってかなり異なる感想が生まれるのでは?
ユニークな人たちが集まる淡々とした群像劇、韓国文学特有の日常の切り抜き方。私は放課後に綺麗な海を見に行ったら振られたみたいな、そんな「いい気分だけどしこりが残るみたいな気持ち」に。

読み終わった当初は「帝国主義はどうして同じ顔をしてるのか」という言葉が引っかかり、ハワイ観光でアメリカに併合されるプロセスについて会話している登場人物たちに興味を持ちました。
読了日:10月29日 著者:チョン・セラン



少女病少女病感想
聯想という名の妄想。これが変態花袋かあと読み進めて最後にびっくり。エロ・グロ・ナンセンスとはまさにこのことかしらん(田山花袋風)
読了日:10月27日 著者:田山花袋



クリスマス・イーヴクリスマス・イーヴ感想
会社があまりにも暇で読み始めた青空文庫。短編集の中の一話で新訳・旧訳共に楽しみました。古き良き格式高いクリスマスイブ。国は違えど「風と共に去りぬ」のあの世界観を思いだしました。肉パイ、私も食べたいなあ
読了日:10月26日 著者:アーヴィング ワシントン



ことばの焚き火 ダイアローグ・イン・デイリーライフ(ハンカチーフ・ブックス)ことばの焚き火 ダイアローグ・イン・デイリーライフ(ハンカチーフ・ブックス)感想
図書館で適当に借りたのでてっきり焚書についての話かな?と思いきや、「焚火に当たるようにのんびりとことばを吐き出していく」というカウンセラーに話を聞いてもらって心が落ち着くような本でした。
教科書や参考書、ビジネス書とはまた異なる知と心への処方箋。仕事とジム後の疲れた心に沁みました。
またこういう本もあるのか!と本書の目的とはまた異なる本の成り立ちやテーマ的な驚きも少々ありました。
読了日:10月25日 著者:大澤真美,中村一浩,植田順,野底稔



ルーマニア、ルーマニアルーマニア、ルーマニア感想
個人的にルーマニアに恨みがあったので「うーむ」と思いながら手に取りましたが、まず作者自体が面白かったのでその情熱ゆえにか大変楽しい読書経験となりました。早めの定年退職をして、ルーマニア語を学ぶために大学に行くというものすごい根性!面白くないわけがない。中で紹介されている物も大変興味深くこれを機に恨みが少し晴れました。
読了日:10月25日 著者:住谷 春也



シベリアの俳句シベリアの俳句感想
1940年代、流刑文学と呼ばれるシベリア送りを生き延びた少年とその家族のストーリー。

リトアニアからソ連・シベリアへ強制送還をされ辛い毎日を過ごしながらも俳句のようにその日々を刻む不思議なタッチの物語。

山崎豊子のあのシベリアの描写が印象に強く、今回時期は違えどこの送還の話を読んでやっぱりそうなんだなと穏やかならぬ気持ちだった。

読了日:10月24日 著者:ユルガ・ヴィレ



百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez)百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez)感想
言わずと知れた「南米文学」の代表作。

本書内で多用されるマジックリアリズムといった用法やその世界観などはヨーロッパ人には分かり難いと言われがちですが、どこか日本の平家物語と繋がる無常感みたいなものを感じます。

でもとにかく…読みにくかった…

読了日:10月24日 著者:ガブリエル ガルシア=マルケス



新・日本の論点 (対訳ニッポン双書)新・日本の論点 (対訳ニッポン双書)感想
英語で日本の現状を説明するためにまとめられた恐ろしく分かりやすい日本の今。

若干皮肉を込めて語られる最低賃金の低さ、非正規労働者の状況、外から見たら悲惨すぎて失笑。現状認識という意味でわりと勉強になりました。
読了日:10月22日 著者:ジェームス・M・バーダマン



女たちのニューヨーク女たちのニューヨーク感想
愛の形には様々なものがあるが、この場合は場所:ニューヨーク。
人々を引き付けるあの輝き、きったなさ、異常なパワフルさ。一度訪れた人なら誰しも感じるのでは?

主人公があまりに無知で厚顔、脳たらりんで思慮が浅く、自分の意見もスタイルもない終始ダサい女性だけど、自身の無分別ゆえに恥をかき、傷つき、後悔を繰り返し、周りの人を傷つけながらも成長していく様は誰にでも当てはまるのではないかと思う。

読了日:10月17日 著者:エリザベス ギルバート



饗応夫人饗応夫人感想
ある一方からの視点で描かれる短編なのでいくらか胸くそ悪い感情を持ってもしかたないのかなと思うが、戦後の女性の身の置かれ方や生きていくための妥協、に対するそれを利用する男、という存在は大震災時に頻発した女性に対する暴行を思い浮かべてしまった。
読了日:10月13日 著者:太宰治



愛と美について愛と美について感想
「兄妹、五人あって、みんなロマンスが好きだった。」

退屈したときは家族みんなで物語の連作を始めるという非常に文学的な兄妹の話。
イプセンを研究する長男、本格的になんでも読んで自分でも書く長女、美しい顔をしたゲーテ一点張りの次男、明治初期の本を読んでくすくす笑うナルシストの妹、探偵小説を好む子高校生の末弟。
穏やかで機智と教養溢れる良作でした。題名は「個人の美学」と思いやる「愛情」かな。

読了日:10月13日 著者:太宰治



畜犬談 —伊馬鵜平君に与える—畜犬談 —伊馬鵜平君に与える—感想
太宰がいかに犬が嫌いなのかを延々と述べているくだらなくて面白い短編。いやこれ、本当に面白いです。

「精神の卑劣」、「醜怪」、「犬畜生」、「懶惰無頼の腐りはてたいやしい根性」「一片の矜持なく、てもなく人間界に屈服」と犬に言いたい放題の主人公が最終的にどうなるのか、最後までコメディ的面白さと太宰的なキザさが混ざりあってニヤニヤしていました。

読了日:10月12日 著者:太宰治



作家たちのフランス革命作家たちのフランス革命感想
お気に入りは第七章。シャンタル・トマ『王妃に別れをつげて』より「マリーアントワネット像と歴史小説の魅力」

ベルばらのせいか彼女には良いイメージがあるけれども、そう好意的ではない描かれ方が多かったことも忘れてはなるまい。

全体的に新しい学びがたくさんで結構ワクワクしながら読んでしまった。出版はなんと今年の夏で、ロシアのウクライナ侵攻についても触れられているのでかなりタイムリー。
読了日:10月12日 著者:多数



命売ります (ちくま文庫)命売ります (ちくま文庫)感想
金閣寺、豊穣の海の三島のイメージのまま読むと全く違って驚く、おもしろい本。行動学入門とか、美しい星とか、その辺のユーモアと気軽さを思いだした。結構イカれたストーリーで、淡々と奇妙に進んでいく感じのバランスが絶妙。
読了日:10月11日 著者:三島 由紀夫



太宰治賞2022太宰治賞2022感想
受賞作よりも最終選考作「異邦の人」(周詩恩)に惹かれ、色々と考えさせられた。親の都合によって簡単に引っ越し、育つ国を変えられる子供。自分の育った根っこごと引き抜かれて無理やり植え替えられそこで育たざるを得なくなったとき、見た目だけは成長したように見える本体はどうなってしまうのだろうか。涙を見せないことは、結局泣いていないということなのだろうか?アイデンティティの確立の問題はこれからもっと国際社会の移動が増えていく中でもっと知られてもいいテーマなんじゃないかなと思う。
読了日:10月08日 著者:多数



モーメント・アーケード (韓国文学ショートショートきむふなセレクション)モーメント・アーケード (韓国文学ショートショートきむふなセレクション)感想
SF的な奇妙な世界観、東アジア特有の家族関係、世界共通の感情の行き違い。そんなものを全て感じられる、驚くべきショートショートです。

物語のすばらしさは勿論のこと、日本語・韓国語・どちらの言語でも読めるというのは語学学習者にとって願ってもみない存在ではないでしょうか。かくいう私も、まず日本語、その後倍以上の時間をかけて韓国語で楽しみました。
私にとって、韓国語を読むことはパズルを解くのと同じ感覚。母語で本を読むのとはまた違った脳を使っているように感じます。
読了日:10月07日 著者:ファン・モガ



憑依と抵抗憑依と抵抗感想
正直、めちゃくちゃ面白かったです。
主にシャーマニズムを中心に解説される現在文化総まとめ。ソ連崩壊と消費社会の到来、格差拡大と激変した中で、特にシャーマンになる人が急増していること。チベット仏教、チンギス・ハーン、イケてるタイトな民族衣装、ノリにのってるモンゴルHIPHOP等々なかなかクレイジージャーニー的な内容で、「ゲルで生活し、草原を駆け回る騎馬民族」という古すぎるイメージを一新させられました。

読了日:10月06日 著者:島村一平



私たちはなぜ犬を愛し、豚を食べ、牛を身にまとうのか: カーニズムとは何か私たちはなぜ犬を愛し、豚を食べ、牛を身にまとうのか: カーニズムとは何か感想
題名の「なぜ~」を知りたくて読み始めましたが、全体的に期待外れでした。

カーニズムとはそのまま肉食の意味で、ひたすらアメリカの食肉業界における残虐性、肉食主義がいかに害悪かについて述べられており、少し辟易しました。
以前日本のジビエについての本を読んだ時に、猟師・シェフたちのプロフェッショナルさ、職人性に尊敬したことを思い出します。
結論としても結局過激な「ヴィーガンのすすめ」という感じ。全体的に疑問が残る本でした。

読了日:10月03日 著者:メラニー・ジョイ



仕事と人生に効く 教養としての紅茶仕事と人生に効く 教養としての紅茶感想
会社員時代の休暇・給料は全て紅茶関連に捧げる筋金入りの紅茶マニアである作者。

私も、私の家族もかなりお茶を飲む習慣(一日に4,5回お茶をしています)があること、現在の貿易関係の仕事でも取り扱っていることから、「紅茶」というものはなかなか身近な存在でした。

おしゃれでかわいい表紙とは裏腹に、紅茶の効用、歴史、世界11ヵ国のお茶文化、専門的な産地銘柄の違い、お茶を日常に取り入れるアイディア等々、紅茶を取り巻く情報をぎゅっとまとめたなかなか骨太な本で週末に大変楽しく読み終えました。

読了日:10月01日 著者:藤枝 理子


さて、あと2ヶ月で今年も終わり。私の25歳も終わりです。今年やりたかったこと、やらなきゃいけなかったことを思いだして行動する月にしたいです。

読書活動としては今年中に『傲慢と偏見』の新訳、ニューヨークで購入したルース・ベイダー・ギンズバーグの伝記(英文)を読み終えたいです。

ではまた


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