2022年、12月の読書まとめです。師走の忙しさとその疲れのせいかあまり本を読む時間が取れませんでしたが、先月もまた面白い本にたくさん出会って新しい世界を探検していました。
『なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない』は、日常業務の手を少し止めて自分を見つめ直す時間を作るきっかけとなりました。今まで好んで読んでいた自己啓発本は「もっと頑張れ」「時間を制覇しよう」「ボスは自分」といったものが本当に多かったのでまともにそれを受けて疲れてしまっていたのですが、この本を読んではじめて「休みたい」と思えました。
11月の読書記録はこちら:
12月の読書メーター
読んだ本の数:10
読んだページ数:3067
ナイス数:120
読書セラピスト (海外文学セレクション)の感想
自分の性癖や弱点をひけらかしながら、ダラダラと進んでいくこの感じ、私の大好きなフランスの作家・マルタンパージュに通ずるところがあってとても良かったです。話の中で「セラピスト」が紹介していく本はどれも大して役に立たないけれども、それが主人公の無能で陰気なイタリア男感を醸し出していてまたまた興味深い。作者の教養に裏打ちされた品位はあるけどスピード感がまるでないミステリー、きっと好みが分かれるのではないかと思いますが、多分フランス文学が好きな方は好きだと思います。
読了日:12月27日 著者:ファビオ・スタッシ
永すぎた春 (新潮文庫)の感想
想像した展開とは全く違って、思いのほかのめりこんでしまった本作。女性の心理という面で少し『夏子の冒険』を彷彿させられました。頼りない兄を「雲の上人」と呼ぶセンス、洒落てますな。
読了日:12月23日 著者:三島 由紀夫
愛じゃないならこれは何の感想
素晴らしい題名の短編集。結論:どれも愛ではないです。愛は自己犠牲、恋は自己満足という言葉に従うと、この物語に出てくる「愛と呼びたい何か」は所詮自己満足な感情の押し付けではないのかと思います。普段読まないジャンルですが結構楽しく読み終えました。私にとって恋愛が描かれる本や映画を見ることはある種の感情教育の一つです。
読了日:12月20日 著者:斜線堂 有紀
パッシング/流砂にのまれての感想
「ハーレムルネサンス」と言われる1920年代から30年代にニューヨーク州マンハッタン島のハーレム地区で花開いたアフリカ系アメリカ人による文化運動。その渦中で書かれたこの本は私の持っていたハーレムのポジティブなイメージを払拭し、人種差別の醜さと苦難、流されであろう血と涙に上書きされました。読了日:12月19日 著者:ネラ・ラーセン
日本移民日記の感想
私にとって新しいものは得られなかった本作でした。
「日本語上手ですね」や、国別ステレオタイプは確かに同じ国に長くいたら耳につくようになるかと思いますが、正直他の諸外国での移住した際も残念ながら同じようなことを言われます。
フランス語然り、もう何十年も話している英語も「お上手ですね、どこで習ったんですか」と各言語を母語として使用される方に言われるので、少なからず日本だけじゃないけど…と思わざるを得ない点が多く感じました。
読了日:12月13日 著者:MOMENT JOON
路上の陽光の感想
チベット文学。否が応でも必ず関わる中国共産党や日本とのインフラの差が気になりつつも人間同士の関係やその中で生まれる感情などは全く変わらないのだなと当たり前のことを改めて考えさせられました。
一番最初の話で『女が死ぬ』通りの女性への暴行シーンが当たり前のように出て来て、それが嫌すぎて正直他の話はあまり記憶に残りませんでしたが。
読了日:12月12日 著者:ラシャムジャ
なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからないの感想
『なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない』この美しい題名に惹かれてのんびり読み始めてはや1週間。
今まで全く読んだことのないスタイルの本で、ものすごく心を掻き乱されました。
著者曰く社会学と臨床心理学がミックスした「メタ自己啓発」的な本書。深層心理学者のユングが「夜の航海」と呼ぶ「自分が今どこにいてどこに向かえばいいのかわからなくなる」状態をどう乗り越えていけばいいのかを実例と共に解説されています。
読了日:12月11日 著者:東畑 開人
アポロの杯 (新潮文庫)の感想
「希臘は私の眷恋の地である。(…)私は自分の筆が躍るに任せよう。私は今日ついにアクロポリスを見た!パルテノンを見た!ゼウスの宮居を見た!」三島このはしゃぎようったら!時代を感じる船旅のあと、荘厳で少し大げさなあの遺跡たちを彼が愛するのはなんだか妙に納得できるような気がします。
ツッコミどころの多すぎる自殺論、色々こね回して面白すぎる小説論など全10つの短編から成る本作。彼への愛が詰まったあとがきも含めて素晴らしい一冊でした。
読了日:12月08日 著者:三島 由紀夫
よく生きることはよく書くこと ジャーナリスト千本健一郎の文章教室1985-2015の感想
「自分の言葉で素晴らしい文章を綴れること」、これほど知的で、格好良くて、美しい行為があるでしょうか?自分が本を読むばかりで良い文章を書けないせいか、尚のこと著述家の文章に惹かれるようです。この本はまさに題名のまま。
30年にわたって文章指導を続けたカルチャーセンターの文集に寄せた自身のエッセイをまとめたもの。素朴でありながら洗練されていて…いつかわたしもこうやって文章を紡げるようになるものでしょうか。
読了日:12月04日 著者:千本 健一郎
武道論: これからの心身の構えの感想
内田氏の既出の文章を集めたもの。AERAへの寄稿からベジャール・バレエガラのパンフレット用までと、文章を書く際の幅広い対象に驚きました。
全体的には真面目に合気道を主とした武道や日々生きる為の心得について語りつつも、著者の知見と今までに得た知識のアウトプット集という感じです。
私は最初の方にある「能が好きな人」のくだりが私の祖父そのままでめちゃくちゃ楽しんで読み終えましたが、なんだかんだ最後まで結構面白く、全体を通して楽しめた本でした。
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- 1月読書まとめ
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