
Bonjour!ゴールデンウィークに上野の東京文化会館にて上演された、東京バレエ団の『ロミオとジュリエット』を妹と鑑賞してきました。
3月にKバレエによるロミジュリを見たばっかりだったので、今流行っているのかな?と軽い気持ちで観に行ったのですが、演出によってこうも別の作品が生まれるのかと衝撃を受けて、改めて自分の知識の底の浅さを思い知りました。

「初台でマクミラン、上野でクランコを観られる東京ってすごい」とTwitterで語っている人を見かけたのですが、まさにその通りだと思います。人類史上「最も美しい愚行」と言われる恋愛ドラマをそれぞれ全く異なるアプローチで体感出来たことに驚きつつ、このような素晴らしい機会に遭遇出来たことに感謝しています。
今回はマクミラン版Kバレエとの比較も少し兼ねつつ、簡単に感想をまとめておこうと思います。Kバレエ『ロミオとジュリエット』のブログはこちら:
悲劇一直線・悲しみに突き進むKバレエ、とにかく喜怒哀楽の激しい東京バレエ
マクミランはイギリスの振付家でロイヤルバレエでの「ロミオとジュリエット」が代表作。Kバレエが3月に公演していたものです。
マクミラン版「サイレンス(静寂)」を非常に効果的に使う演出*はKバレエ特有のシックな色合いの衣装と相まって、最初から悲劇を予感させていた点が印象的でした。勿論主演の望月さんの無邪気さから悲劇のヒロインまでの感情の移り変わりは圧巻ではありましたが、全体的に悲しくて少々荘厳すぎる印象でした。
クランコ版は一言でいうと山盛り。若干ラテンのノリすら感じさせる大げさで情熱的すぎる恋愛模様や敵対関係は一触即発のビリビリ感が伝わってくるよう。舞踏会のシーンでは中世ヨーロッパの豪華さとその馬鹿馬鹿しさ、皮肉っぷりを存分に楽しめます。
鬼才と呼ばれたジョン・クランコ版には、ロミジュリの作品内ではあまり見たことのないカーニバルシーンが登場します。ロシアの文学者バフチンによると「カーニバル劇の根底には不断の変転と死と再生のパトスが存在する」とのこと。出会いのシーンから別れのシーンのちょうど合間にカーニバルが登場することによって、カオス、それから死と生の両価性みたいなものを表しているのかなと思いました。
ダイナミックな技はボリショイ仕込み。今まで見たことがないような技の数々は、まさに「踊りで魅せるロシア」。ストーリーに関係なく、見ていて楽しいものがありました。
恋愛至上主義
付き合えないならば死ぬ!と言った盲目的な愛を馬鹿にし始めたらもうピーターパンの言う大人チームだなと思うのですが、まさしく私はその通りで、本当に自分が分別を持ったつまらない大人になってしまったなと感じます。
この物語がたった二日間の出来事であることからもその尋常ならぬ熱意は感じられますが、若い二人の恋愛だからそこの無鉄砲さやひたむきや、感情の激情ぶりは少々目に余るものがあります。そんな時に劇場で購入したパンフレットで面白い解説を見つけました。
原作・シェイクスピアの時代背景こそがこの恋愛至上主義を容認しているというのです。
シェイクスピアの時代思潮:人文主義思想「正しいのは神のみであり、人間は必ずあやまるもの」
つまり、愚行こそが人間らしい行為であり、恋愛=「他人の為に己の全てを投げ打つこと」は最も美しい愚行であると。
以前どこかで「結婚は恋愛の本質としての惰性の否定」という文面を読んで納得したことがありました。燃え上がるものこそが本質だとしたら、相手を好きな気持ちが静まり(冷めて)惰性的関係になる前に亡くなった二人は恋愛至上主義者として理想的な行動をとったと言えるのかもしれません。
海老軍団1:親友マキューシオ
今回、ジュリエットとの恋愛云々よりも目立ったのは「ロミオとゆかいな仲間たち3人組」です。その親友の一人であるマキューシオは明るくお調子もの、勇敢、激情的で女好きというイタリアのステレオタイプ的男性です。シェイクスピア版だと下ネタ担当にあたる役でもあり、場を盛り上げる役を担っているようです。
今回演じたのは生方隆之介氏。チャーミングで表情豊か、決闘で死ぬ最後のシーンまでかなりの存在感を放っていた影の主役だと思いました。近くの席で見ていた私の友人も絶賛、フレッシュさがより伝わっていたようです。うらやましい!

マキューシオについて調べている際に面白いブログを発見しました。「マキューシオが余計なことさえしなければ本当はロミオとジュリエットは結婚出来たのではないか?」というものです。:Zorac歴史サイト – 本当は幸せになれたロミオとジュリエット (sakura.ne.jp)
なんでも、13世紀当時、家同士の争いの解決策として結婚はよく使われてきたものなので、焦らずとも二人は結婚出来たのではないかということ。
「大人であるロレンス修道士は、もう少し分別のあるアドバイスをすべきだっただろう」とふざけ半分、大真面目半分に冷静に分析する上記のブログは、ロミオとジュリエットの話に疑問を持ったことがある人は一度読んでみると面白いかと思います。
二つ舞台を観てみてようやく気が付いたのですが、ロミジュリって結構女性の出番が少ないですよね。格式張って長ったらしいグランパドゥドゥもそんなにないですし、ジュリエットの踊るソロもそもそも2,3回だけの気がします。男女二人の恋愛の様子というよりはむしろアラジンとジーニーと同じノリを感じます…あちらも二人の冒険ですが、今回もロミオと親友たちといったメンズの活躍にかなり心躍らされました。
さて今回の公演はGW前半に3日間行われた「上野バレエフェスティバル」の一部でした。そのためかロビーにはたくさんのお店が並んでいて、幕間の短さが惜しいほどでした。
私も可愛らしいレターセットのお店を見つけて自分の名前入りのメッセージカードを作成して頂きました。なかなかないおしゃれなデザイン、これから友人たちにプレゼントを渡すのが楽しみです。
次回の舞台芸術鑑賞としては、チケットが取れれば上野水香さんのドン・キホーテ、ロイヤルバレエ・ガラを観に行きたいと思っています。
ちなみにロミオとジュリエットの舞台はヴェローナ。ヴェネチアとミラノのちょうど中間に位置する北イタリアの街です。数年後にイタリア留学を考えているので、イタリアのものに惹かれることが多いようです。
ではまた、Au revoir!
引用・参考等
中世の雰囲気残るヴェローナで、ロミオとジュリエットの世界に誘われる|エクスペディア (expedia.co.jp)
劇場パンフレット

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